ネフローゼ症候群に合った食事をする夫婦

ネフローゼ症候群とは

ネフローゼ症候群とは、尿にたんぱく質が大量に排出されることで、血液中のたんぱく質の量が減ってしまい(低たんぱく血症)、そのために浮腫を発症する疾患です。

症状

浮腫(むくみ)以外の症状として、倦怠感・体重増加・下肢の重さ・尿の泡立ちなどがみられます。この状態を放置してしまうと、胸に水が溜まり呼吸困難を発症させ重篤化する可能性もあります。

原因

様々な原因で発症しますが、簡単に分けると一次性と二次性になります。一次性は腎臓の疾患から、二次性は腎臓以外の疾患で、多くの病気を原因に引き起こされる疾患です。

ネフローゼ症候群の食事療法

  • たんぱく質の摂り過ぎを避けます
  • エネルギーは十分に摂取する
  • 食塩は浮腫や高血圧の症状によって制限する
  • 水分制限はほとんどしません

たんぱく質

一昔前までは十分量のたんぱく質を摂取させる必要があると考えられていたが、高たんぱく質の食事の持続は糸球体の過剰濾過を生じさせ腎機能低下の原因になるので、たんぱく質の摂取量を制限することが通常になりました。 

治療抵抗性ネフローゼ症候群ではたんぱく制限がたんぱく尿を減少させる事が知られています。

現在は低たんぱく血症を伴うネフローゼ症候群では、過度の低たんぱく質食による栄養障害の危険もあるので、1日標準体重1kg当たり0.6g以下のたんぱく制限食は注意が必要です。

低たんぱく質制限を適用する場合にも1日標準体重1kg当たり0.8gにした方が良いとする考え方が一般的です。

エネルギー

たんぱくの異化を予防するためには十分なエネルギー補給が重要であり、ネフローゼ症候群では通常1日標準体重1kg当たり35kcalは必要となる。

低たんぱく質の制限食ではエネルギーが低下してしまうことが多いので特殊食品を取り入れカバーする。十分なエネルギー補給と併せてアミノ酸補給も考える必要があります。

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塩分・水分

低アルブミン血症による血漿膠質浸透圧の低下のため浮腫(むくみ)が生じます。ひどい浮腫がある時は食塩1日0~4gとしますが通常は1日5~6gの摂取量となります。

乏尿・浮腫がひどい場合は、水分摂取量の制限 が行われることもありますが、通常の時は水分制限しません。

ネフローゼ症候群の食事まとめ

たんぱく質制限や食塩制限によって、食欲が低下しエネルギー摂取量が減少しないような工夫が必要です。

低たんぱく食品・減塩食の実践には患者の前向きな気持ちがとても重要です。また、低たんぱく質食は患者のQOLを損ないやすい事にも注意を払う必要があります。

鮮度のよい食材を使って風味を最大限に生かし、香辛料やだしをうまく使うことが減塩につながります。

たんぱく制限も塩分制限も慣れが必要で、低たんぱく食・減塩食に慣れてしまうとQOLを損なうことなく食事をすることができます。

宅配食を利用すれば手間を掛けず、楽に食事制限を行う事ができます。